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電源事典

2-2-1 PC(パソコン)電源

PC電源は実はPCの最も重要なパーツと言っても過言ではありません。
一言でいえば「家庭に配電されているAC(交流)を、マザーボードをはじめとするコンピュータ機器が使用するDC(直流)に変換し、それを安定に供給すること。」で、もし不安定になったり、壊れたりすればPCの機能が停止してしまい大切なデータを失うことになるからです。

ところでPC電源は特殊な装置かといえばそうではありません。実際には一般に家庭内にある家電製品は交流をそのままの状態で使用することは少なく、ほとんど例外なく内部に電源を内蔵しACをDCに変換しています。
よく見かけるACアダプターは内蔵されている電源を外部に設置した例です。
常日頃、家電製品の電源を意識しないのは、電源が家電製品の内蔵品であることと、家電製品は拡張性が無いため電源を交換するといったことが起こらないからです。

また電源を交換しようと考えても、たとえばテレビ用の電源などというものをショップで売っていることは無論ありません。
これに対してPCは拡張性があり、たとえばHDDを増やしたり、あるいはCPUを交換したりといった場合にPC電源を交換することがあり得ます。また、電源は寿命部品であり、ある時期になったら交換しなければなりません。

■ PC電源の種類とその違い
現在ショップで見かけるほとんどの電源はATXと呼ばれるタイプです。
ATX電源はATXマザーボードの豊富さが示すようにもっとも選択肢が多い電源です。SFX電源はmicroATXマザーボード用の電源です。AT電源は主にFA(Factory Automation)用など分野では電源ON/OFFコントロールの確実な点から使用されていました。またATX・SFX規格の後継規格としてATX12V・SFX12V規格がありそれぞれ以前の規格との互換性があります。(ATX12Vから-5Vは省略可能)それでは、各PC電源の差について説明しましょう。

まず、PC電源の外形に着目すると、AT電源、ATX電源はPS/2サイズと呼ばれる同じ大きさで、外見だけでは見分けのつかない場合があります。これに対しSFX電源はPS/2サイズの体積比50%以下と非常にコンパクトです。(写真2.1)

左下がAT電源 中央上SFX電源 右下がATX電源
写真2.1  左下がAT電源  中央上SFX電源   右下がATX電源

それぞれのPC電源は、マザーボードに接続するメインコネクタの形状と出力される電圧に差があります。これはマザーボードの種類によって要求している電圧に違いがあるためで、それぞれ表2.1のようになります。

表2.1 マザーボードへ電力供給
表2.1 マザーボードへ電力供給

表2.1 マザーボードへ電力供給

表2.1 マザーボードへ電力供給

表2.1 マザーボードへ電力供給

外形には差がないAT電源とATX電源ですが、メインコネクタの形状と出力に大きく差があり、識別が可能です。また、ATX電源はSFX電源の出力を包含しているとともにコネクタ形状も一致しています。このため、ATX電源をmicroATXのマザーボードに使用することが可能です。PC電源にはメインコネクタ以外にペリフェラルコネクタ(4Pinの大きいコネクタ)、FDDコネクタ(4Pinの小さいコネクタ)があり、これは用意されるコネクタの数に差はあっても同様の形状、出力電圧です。(写真2.2、写真2.3)

AT電源のコネクタ左からメインペリフェラル(6Pin2ヶ)ペリフェラルコネクタ、FDDコネクタ

写真2.2  AT電源のコネクタ
左からメインペリフェラル(6Pin×2ヶ)ペリフェラルコネクタ、FDDコネクタ

写真2.3 ATX電源・SFX電源のコネクタ左からメインコネクタ(20Pin1ヶ)ペリフェラルコネクタ、FDDコネクタ

写真2.3  ATX電源・SFX電源のコネクタ
左からメインコネクタ(20Pin×1ヶ)ペリフェラルコネクタ、FDDコネクタ

さらに、電源のON/OFFコントロールでは手動による操作が必要なAT電源と、マザーボードからの制御が可能なATX、SFX電源に分類することが出来ます。

AT電源は通常ファストン端子(写真2.4)がついており、ACを外部スイッチで元から入れたり切ったりすることにより電源のON/OFFを行います。このため、アウトレット(モニター等を接続するコンセント)が付属している場合、PCの動作と連動してモニターをON/OFFすることが可能です。さらに手動でACを元から入り切りするため、PCのON/OFF制御はPCの状態に依存せず、確実です。

写真2.4 AT電源のファストン端子。ここにスイッチを接続し、スイッチを手動で入切する事 で電源をON/OFFする。

写真2.4  AT電源のファストン端子。
ここにスイッチを接続し、スイッチを手動で入切する事で電源をON/OFFする。

これに対して、ATX、SFX電源はマザーボードからの電気的な制御、具体的にはメインコネクタの制御用端子(14番Pin)の電圧によって電源をON/OFFしています(写真2.5)。この端子の電圧をTTL Low(黒い線と同じ電圧=0V)にするとPC電源 が動作状態になります。我々ユーザがATX仕様のPCを立ち上げるとき、PCのフロントパネルのスイッチを押しますが、実は、これは直接PC電源のスイッチをONにしているわけではなく、マザーボードに指示を与え、間接的にPC電源をONにしているのです。

20Pinのメインコネクタ14番PinがON/OFF制御用端子である。

写真2.5 20Pinのメインコネクタ14番PinがON/OFF制御用端子である。

また、Windows2000/XP等でOSが終了すると自動的にPC電源が停止する機能はこの制御を利用して行っています。(図2.3)

AT電源は人が直接PC電源のON/OFFを行うが、ATX ・ SFX電源はマザーボードを介しPC電源のON/OFFが行われます。

図2.3  AT電源は人が直接PC電源のON/OFFを行うが、
ATX ・SFX電源はマザーボードを介しPC電源のON/OFFが行われます。

 ■ ATX電源を手動で動かす方法
ATX電源をマザーボードに接続せずに、単体で出力させる方法としては、マザーボードからの指令を擬似的に作り出します。電源が起動しない場合に電源の問題か、あるいはマザーボードの問題かを切り分ける際に試してみたい場合に使用する方法です。
マザーボードからの指令を擬似的に作り出すにはATX電源のメインコネクタのPS_ONをTTL Lowにする、つまりPS_ONとCOMをショートすればこの状態を作り出すことが出来ます。
但し、ここで一つ注意する点は「最小負荷条件がある」という事です。これは、パソコン電源が一つのトランスで複数の出力を出力している場合、たとえば、5V出力に2A程度電流を流さないと3.3Vや12Vが出力しないといった現象が発生する物があります。何の負荷も接続しない状態で電源ONの操作を行っても正しい出力が得られない場合もありますので、電源の最小負荷条件を確認するようにしてください。

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