御社PC製品に弊社電源製品をご採用頂いた背景をお聞かせ下さい。
我々は台湾ポートウェル社の子会社という立ち位置ではありますが、コンセプトとしては日本でできることは日本で行いスピード感を持ってお客様に対応したいと考えています。
製造部を社内に置き、顧客のオーダーに基づいたBTOのPCを一台一台組み立てています。本社からの購入品だけではなく、我々で部品を調達してPCを組み立てて出荷しています。その中で、ある時台湾の電源メーカーの品質が落ちたことがありました。コンデンサが膨張したり壊れたり、製造不良が有ったりという時に、品質が良いものを用意しておいた方が、お客様にとっても良いということでニプロンさんの電源を導入しました。
我々のお客様および潜在的なお客様の中には、コンシューマーPCやセミインダストリアルを使用しているお客様もいらっしゃいます。そういったお客様に対して、産業用のPCをご提案する際に「ある程度値段が張りますがこの価格差はなぜですか?」という質問を頂いても、御社はかなり認知度が高いので使用部材や電源についてご説明すると「ああ、ニプロンさんか。なるほどね。」と言っていただくことが多く、お客様に対する説得材料にもなるので非常にありがたく思います。
台湾製の電源も品質が良くなってきていますが、「絶対に壊れてはいけない」とか、どちらかというと価格よりも品質の方が優先度の高いお客様に対しては非常にご提案がしやすいです。我々から品質や保証の話をしなくても御社の名前を出すと、納得して頂けることが多いのでそこは非常に助かっています。
御社が国内生産にこだわっているポイントをお聞かせ下さい。
完成品のボックスPCも当然ありますが、それだけですとお客様が希望する仕様の製品を提供できないので、筐体、CPU、ボード、その他スペック等をお客様にヒアリングして、もし、ボックスPCで提案できなければ最適なものをBTOで組み上げて出荷しています。
それこそ筐体にしても台湾の別のメーカーから引っ張ってくることもしています。お客様が望む物、お客様に適している物を提供することが一番だとの思いが、現在の体制に繋がっています。
我々の強みとして、技術も製造も国内に置いています。その中でお客様はより手軽に使いやすいものを選ぶようになってきています。我々に拡張カード、グラフィックカード、I/Oカードの選定を全て任せていただければ何か故障や不具合があった場合でも、我々に送り返していただければ解析するよという形が取れます。
BTOでPCを作るメーカーさんは他にも日本に何社かいらっしゃると思いますが、他社様と我々との違いは、元々CPUボードメーカーという立ち位置の中でBTO機能を備えているということです。おそらくそういったメーカーは我々しかいないのでその意味では物凄い強みになっています。
マザーボードと電源の相性で御苦労されたことはございますか。
ボードとの相性という意味ではあまり問題は起きたことはありません。逆に、今まで一番使用していた台湾製の電源が、新しい世代のPC及びCPUボードと組み合わせた際に、相性問題を起こして立ち上がらないケースもあるので、その際にはニプロンさんの電源を使用しています。
台湾の電源メーカーは基本的に単発不良が起きた際に解析をしてくれません。部品の解析や、部品メーカーに解析依頼も出してくれず、「単発不良なので経過を見させてください」ということが多いですが、ニプロンさんの場合は解析レポートをしっかり出していただけるので、非常にありがたいです。普通はあまり無いですが、つい最近ではお客様と共同でのビデオミーティングに参加して頂きましたし、対応には非常に満足しています。
弊社電源の採用・選定のポイントとして、御社としてPC電源を選定する際に重要視しているポイントをお聞かせ下さい。
我々の産業用PCに求められるのは、「堅牢性」や「長期供給」、「解析力」です。また、最近多いのは「規格取得」の部分です。国内なら当然PSE認証の取得が必要ですし、我々の検査装置や工作機械のメーカーさんというお客様は、メーカーは国内だがそのお客様が海外にいるというケースが多いと思います。PCにおいても安全規格のCEやCCC、KCといったものの取得が求められることが多々あります。その時に肝になる電源が認証規格を取得していると非常に良いと思います。
海外認証取得PC
弊社の電源を搭載した御社PC製品のユーザー様の評判、満足度はいかがですか?
まず壊れにくいし解析レポートもしっかり出てくるのでそもそも不満が上がってこないという点において評価は高いです。
またアフターサービスに対する安心感もあり、そこがお客様にとっても我々にとってもメリットだと感じています。
我々はPCメーカーではありますが、電源やHDDといった中の詳しい部品構造までは追い切れないケースもありますし、ユーザー様の感情として「ちゃんとメーカーに確認したのか」といったお話や、悪気はないと思うが「最後まで確認したいのでメーカーさんと会わせてほしい」というケースはやはりありますので、その時に同席ご対応いただけるのは非常に心強いです。
そういった事例が積み重なっていくとユーザーさんに対しても説明がしやすいです。「こういう事例があって途中経過や対応、結果はこうでした。でも海外製メーカーだとおそらくこうなりますよ」というお話ができるので、我々にとってもありがたいしアピールポイントにもなってくるのでそこの積み重ねは非常に重要ですし満足しています。
今後の展望、御社の特徴・強み、今後どのようなビジネスに取り組んでいくか、また今後の目標について教えてください。
我々は元々CPUボードを売ってきたメーカーになりますが、それだけでは他社との差別化が難しいという理由でBTO事業を始め、2000年頭くらいからBTO事業に軸足を移しています。BTO事業を約20年弱行ってきて、今後も柔軟性や国内製造のメーカーであるという点を強みに事業を継続していきます。
また、近年の傾向として2018年まではCPUボードの売上の方が多かったが、昨年はCPUボードよりもPCの売上の方が多くなり売上が逆転しました。現在、7割くらいはボックスPCの売上・ビジネスという風に変わっています。この変化の理由は、お客様がより手軽に実装したい、より手軽に組み込んでいきたい、もしくは機器に組み込まずに横に置きたい、などお客様の使いやすさを追及している結果ですが、この傾向は今後も続いていくと思うので組み込みPCの事業にさらに注力していきたいです。
あとは、最近新規で展開しているビジネスとして産業用のタブレットPC事業があります。ニーズとして今までお客様から「産業用タブレットPCはないの?」といった声を多く頂く中で、生産の現場ではまだ紙を使用されているところが非常に多いです。そこに対してペーパーレスを推進するという意味でタブレットPCは非常に有効な手段になります。製造現場でのペーパーレス化推進ということで、今はタブレットPCを強力に押し進めています。
産業用タブレットPCの分野に参入したのは去年からですが、我々の想像以上に製造の現場では紙を使われていますので、かなり効率化の余地はあると考えています。
お客様の現在使われているシステムと比較してどうなのか、どういった点が足りなくてそういったソフトを選べば間違いないのかといったことを、パートナーさんと協力して、我々からお客さまのご要望に応じてシステムのご提案をするということもできるような体制になりつつあります。
新たに展開されている産業用タブレットPC